【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
……美憂のことを、好きだってこと。
自分でもこんなことを書くなんて、美憂を悲しませるだけだってわかってた。
でも、書かずにはいられなかった。
もしかしたら俺は、美憂がこうやって来てくれるのを、心のどこかで期待していたのかもしれない。
「拓磨くん……行かないで……行かないでよぉ……」
泣きながら、俺に抱き付く美憂。
そんな美憂が愛おしくて仕方ない。
「ずっと、そばにいてくれるって言ったじゃん。離さないって言ったじゃん……」
「……ごめん」
「なんでなにも言わずに行こうとするの……?」
「ごめん」
「私……拓磨くんと離れたくないよぉ……っ」
俺だって離れたくない。
美憂のことが好きだから……当たり前だ。
「……って、私……ごめん、ワガママ言っちゃって」
美憂はハッと我に返ったように涙を拭って、俺から離れる。