【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





「葵ちゃん、私……今日から拓磨くんとごはん食べることになって……だから、多田くんと食べたら?」



私は笑顔で2人の間に入ってそう言った。



この2人、結構相性いいと思うんだよね。
だから多田くんを応援したくなったんだ。
多田くんと関わっていく中で、葵ちゃんの男ギライも克服されるかもしれないし。



「ちょ、美憂なに言って……っ」



「ほら、美憂ちゃんもこう言ってることだし。ね?」



多田くんは嬉しそうに葵ちゃんの手を握る。



「じゃ、私はこれで……」



「み、美憂!」



葵ちゃんの言葉に振り返らず、教室を出た。



さてと、さっさと屋上に戻らなきゃ。



また早歩きで屋上へと向かった。
すると、屋上へと続く階段の下で誰かに肩を叩かれた。



「桐野さんっ」



「へ?」



振り返るとそこには頬を赤く染めるクラスメイトの男の子がいた。
名前は……わからない。
私、人の名前覚えるのニガテだからな……。
申し訳ない。
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