【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





「今日の欠席は……戸田と矢野か」



担任がそう言ったときだった。



ガラガラ―――



「遅れてすみません」



「……!」



拓磨くんが教室に入ってきた。



教室の空気は一気に緊張感に包まれる。



拓磨くん……すごい威圧感というか存在感というか……。
みんなビビってるよ……。



「……あぁ、矢野。おはよう。席に着いて」



「はい」



矢野くんは無表情で自分の席に着いた。



横目で拓磨くんを見る。
すると、私の視線に気づいたのか、こちらを向いた。
私は慌てて目をそらす。



「……美憂」



「は、はい!?」



拓磨くんに名前を呼ばれて、体が跳ねる。
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