タカラビト
ハジメテ
繋
真っ暗な空に朝日が昇り、小鳥のさえずりが聞こえる。焼きたてのパンの香り。そして今日も人は動き出す。
んー。眠い。朝か。
母が朝ごはんを用意する音が聞こえる。
リビングへ向かうとすでに準備ができていた。
「あら、乃亜おはよう。」
「おはよう。」
「時間ないんだから早く食べなさいよ。」
「あ、うん。」
と、言いながらパンをくわえる。
「行ってきます。」
「はーい、行ってらっしゃい。」
玄関のドアを開けると気持ちいい風が私を迎える。
私は望月乃亜≪モチヅキ ノア≫。高校2年生。普通の高校生。
「乃亜ー!おはよ!」
「おはよう。」
朝から抱きついてくるのは、1年からの親友、船見唯≪フネミ ユイ≫。唯はね、すっごく美人でスポーツ万能、文句無しのモテ女。