スナオじゃないキミ.
「すいません送ってもらっちゃって。 」
「いえいえ。」
なんやかんやで家まで送ってくれた。
「ありがとうございました。」
「じゃ、おやすみなさい。」
「はい。おやすみなさい。」
「ねっ、最後にもいっかい和くんって呼んで?」
「えー.....。
じゃあ先輩が私のこと名前で呼んでくれたらいいですよ?」
「もう覚えてねーよ。
呼んでくれねーとほんと帰らせないよ?」
「.....っ和くん。」
「少し怒った和くんも最高。 」
そう言って手を振りながら帰っていった。
あの時みたいに、背中が見えなくなるまで見送る。
その時。
「風邪ひくなよ。おやすみ遥奈。」
「おやすみ.....なさいっ。」
なんだ、覚えてるじゃん。
でもほんとは、すんごく嬉しい。
そして心臓がほんとにうるさい。
現実?漫画?これ少女漫画?
別に好きとか言われたわけじゃないけど
すんごく心臓が痛い。
後になって考えると、この日が
“和くん”のことを意識し始めた最初の日かもしれない。