涙がこぼれる季節(とき)【完】
4人ともK高を目指す受験生。


真面目に勉強を始めて数時間後、


「あ~、疲れた。休憩しようぜ」


一番合格ラインから遠いくせに、悠斗が一番先に音を上げた。


「じゃあ、飲み物もらってきて」

「おうっ」


悠斗が部屋を出て行くと、吉崎の視線が本棚のアルバムに注がれていた。


「アルバム、見る?」


結衣が渡したアルバムを、吉崎が開いて見ていると、


「なになに、アルバム見てんの~?」


悠斗が戻って来た。


「結衣は、ガキの頃から全然変わってないだろ。特に、身長」

「ちょっと~、それ、気にしてるんだから言わないでよっ」


じゃれ合う、結衣と悠斗。


「なんか、いつも3人一緒だね」


吉崎の指摘どおり、結衣のアルバムには私と悠斗も頻繁に登場していた。


「まあ、いつも一緒にいたからな」


心なしか得意げな悠斗――。


吉崎は気づかなかっただろうか。


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