涙がこぼれる季節(とき)【完】
「あと、結衣のじいちゃん――だっけ? あの話も嘘だから」

「え?!」

「あの時は、結衣が、もうシュウに送ってもらうのイヤだっつーからさ」

「……嫌、だったんだ?」


「だって、修ちゃん、他の女子とはものすご~く楽しそうにしゃべるのに、私とは全然しゃべってくれないんだもん。

イヤイヤ送ってくれてるんだと思ったの」


「ちなみに、具合が悪くてどうこうっていうのは、シュウの勝手な妄想だからな」

「え、じゃあ、落ち込んでたのって――」

「修ちゃんが、私のことキライなんだって思ってたからだよ」

「嫌いなんて――そんな訳ないだろ。あれは、緊張してたからで」


吉崎は慌てて弁解したが、その必要などなかった。


吉崎に告白された今となっては、結衣もそのことをわかっていたからだ。

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