涙がこぼれる季節(とき)【完】
結衣もそれに気づいたのか、


「修……ちゃん?」


心細げに声をかけたが、


「俺、勉強するから」


やはり目を合わせることなく、吉崎は問題集に向かってしまった。


「修ちゃん」

「…………」

「ねえ……こっち向いて」

「…………」


頑なな吉崎に、結衣は目を伏せた。



悠斗は、そんな結衣を心配そうに見守っていた。


おそらく、自分が招いたこの状況で結衣が泣いてしまうのでは、と不安になったのだろう。

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