涙がこぼれる季節(とき)【完】
木陰の風に吹かれながら。


このチームには悠斗が入っていて、結衣と佐伯もマネージャー見習いをさせてもらっていたこと。


相手チームの野次に佐伯がキレたこと。


そんなことを結衣が話してくれた。


「オレのチームにも、そのウワサ、伝わってきたよ。

どっかの組長の一人娘の美少女が、相手チームの監督に落とし前つけさせたって」

「なに、ソレ。ウワサって怖い」

「佐伯がセンパイにキレた時、ああ、これかってちょっと笑いそうになったよ」


2人でほのぼのと笑い合った。


「でも、美桜ちゃんの、マネージャーへの情熱はすごいんだよ。

消防署の救命講習受けたり、練習の補助も美桜ちゃんの提案でやることになったし。

今は、栄養学とか運動力学とか、難しい本読んでるの」


「受験なのに?」

「美桜ちゃんのテスト成績表、今度見せてもらって。すごいから」

「すごいって?」

「1年生の最初から、ずっと学年トップの記録更新中だよ」

「マジ? なんか、すげぇカッコイイ~」


佐伯が優秀だということは知っていたが、そこまでとは思わず素直に感嘆した。

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