涙がこぼれる季節(とき)【完】
もう、完全に容量オーバー。



まず、ニヤケが止まらない。



夕食の時も、母親や弟に気づかれそうで気を引き締めてはみるものの、すぐにまたニヤニヤしてしまう。



「もう寝るから」


早々に部屋に引き上げ、ふと、ケータイの電源を切っていたことを思い出した。


ケータイに、友人からの「おめでとう」メールが数件、そして悠斗からも来ていた。



『今日の2人きりの時間は、


 俺からの誕生日プレゼントだぜ。



 ハッピーバースデーだったか?』


ここで初めて、悠斗たちが用事があると言っていたのは嘘だったと気づいた。


ハッピーバースデーだったか――?


返信はしないが、即答できる。



ハッピーバースデー――ハピエストバースデーだった、と。


今日がオレの、人生のピークなのでは、と不安になるくらいに。


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