涙がこぼれる季節(とき)【完】
<佐伯美桜>


吉崎の誕生日の翌日。


勉強会は、私の家。


「昨日の俺のプレゼント、気に入ってくれたか~?」



吉崎の誕生日、用事があると嘘をついて2人きりにさせてやろうーー。


そう言い出したのは、悠斗だった。



やはり悠斗は自分の気持ちに気づいていないのだ――。


私は確信した。




誕生日に、部屋で2人きり――。


この状況で何もないとは、考えにくい。



それとも、吉崎は結衣に指一本触れられない、という過信があるのだろうか。


あるいは、決定的なショックを受けることによって、結衣のことをあきらめようとしているのだろうか。

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