涙がこぼれる季節(とき)【完】
「悠斗から、何もらったの?」

「いや、まあ……」


モジモジする吉崎を見て、悠斗はまたくだらないことを思いついたらしい。


「カノジョには言えないよなぁ」


思わせぶりに言ってみせる。


「なによ、ソレ」

「だ~か~ら~、言えないって~」

「怪しい~」


悠斗が結衣にいわゆる「18禁」だと思わせようとしていることに、吉崎も気づいていたものの。


「2人きりの時間」と訂正するのにも抵抗があるようだ。



「んで? 昨日はどうだったんだよ」


結衣たちの反応を観察する、悠斗。


「図書館に行って、その帰りにA少年団の練習見たよ」

「マジ? 監督、元気だった?」

「うん。ちょっと、きてたけどね」


額に手を当てる結衣に、


「――じゃなくて! なんで図書館なんか行くんだよ」


悠斗が突っ込んだ。

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