涙がこぼれる季節(とき)【完】
「そこは~、どっちかの部屋だろーが」

「でも、つき合ってること、親に知られたくないし」


同時に頬を赤らめた、結衣と吉崎。


悠斗はまたまた、ろくでもないことを思いついたようだ。


「いやいや、誕生日だぞ。

部屋で2人――チューなんかしちゃったりして?

なんなら、違う『勉強』しちゃう? みたいな。

ま、男なら、誰もが持ってる願望だよな」


冗談半分に悠斗は言ったが、これは、おそらく牽制球。


結衣に対して特別シャイな、吉崎は。


これでもう、結衣を2人きりの部屋に誘うことはできないだろう。


「さてと、勉強でもすっかな」


すっかりご満悦な、悠斗。



まさかここまで予測して、「2人きりの時間」をプレゼントしたのだろうか。


……いや、悠斗にそんな能力は、ない。

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