涙がこぼれる季節(とき)【完】
行き当たりばったりの悠斗に翻弄されて戸惑いを隠せない吉崎に、せめてもの、


「これ、私からのプレゼント」


封筒を渡した。


「これ、何?」

「開けてみて」


中味を見た瞬間、吉崎は真っ赤になった。


「なになに?」


覗き込んだ結衣が、


「あ、ちょっと、美桜ちゃん。なんで見せちゃうのよ〜」


恥ずかしそうに、私をにらんだ。


封筒の中味は、結衣と吉崎が2人だけで写っている写真。


修学旅行の時、3人で撮る振りをして、実は2人だけのも撮っていたのだ。


「吉崎も欲しいかと思って――ねえ?」

「うん、すっげー、嬉しい。ありがとう」


先程の悠斗以上に、嬉しそうな吉崎。




「あー、もう、やってらんねぇぜ」


今や面白くなさそうな表情を浮かべている悠斗の、最近一際目立つようになった口癖が飛び出した。


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