涙がこぼれる季節(とき)【完】
無邪気な結衣は、悠斗がデジカメを持っていることに気づくと、


「私たちも撮って~」


幸せいっぱいの笑顔を悠斗に向けた。



結衣の浴衣姿――。


是非、記録に残しておきたいだろう。



だが、その横には、吉崎が――しかも、仲良さそうに手をつないでいる。


悠斗は迷ったに違いない。


だが、迷うだけ無駄なのだ。


「ねえ、お願~い」

「……しょうがねぇな」


結衣の頼みを断ることなど、悠斗にはできないのだから。

< 135 / 200 >

この作品をシェア

pagetop