涙がこぼれる季節(とき)【完】
「俺、思ったんだけどさ、本当に2人でK高の野球部に入るんなら、つき合ってること、隠した方がいいんじゃね?」


未来あるカップルに一石を投じた。


「実際、周りも気ィ遣うし、同学年だけならまだいいけど、センパイの目もあるし。

絶対悪く言うヤツ出てくるぜ。

特に、結衣の方が言われるんじゃね?」


悠斗はきっと、以前からこの問題について考えていたのだろう。


いや。

悠斗はいつだって、結衣が傷つかないように、悲しまないようにと考えていた。


「堂々とつき合いたいなら、同じ学校の野球部に2人で入るのは、あきらめろ」


珍しく説得力のある主張に、誰も反論できなかった。

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