涙がこぼれる季節(とき)【完】
「さあ、そういう話、したことないから」


とりあえず、嘘では、ない。


「でも、悠斗って、結衣に優しいよね」


吉崎が嫉妬するのもわかるが、



「じゃあ、もし、悠斗が結衣のこと好きだってわかったら、どうするの?」


意地悪な質問をぶつけた。



「俺のカノジョに手出すな、とか言っちゃう?」


だが、吉崎に言えはしない。


「……いや」



「悠斗に、結衣、譲ってあげる?」


それこそ、出来る訳がない。


「…………」


無言ながら、吉崎の目には否定の色が強く表われていた。

< 143 / 200 >

この作品をシェア

pagetop