涙がこぼれる季節(とき)【完】
「……ケーキ、食べよっか」

「あ、うん……」


親にバレていたことに加え、部屋に2人きりでいることが気恥ずかしくて、オレたちは言葉少なにケーキを食べた。



数分後、ケーキを食べ終えて結衣が額入り写真を手に取った時、額の裏に紙が貼られていることに気づいた。


「裏に何か書いてあるよ」

「え?」


結衣が額を裏返し、オレたちの目に飛び込んできたのは、悠斗からのメッセージ。



『オレからのプレゼントは、


 この写真と、2人きりの時間だぜ。


 ハッピーバースデーを祈る!! 』




男なら、誰もが持ってる願望――。


とっさに悠斗のセリフが蘇った。


多分、結衣も同じだろう。

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