涙がこぼれる季節(とき)【完】
「……これ、お母さんも見たよね」

「……多分」



……もしかして、わざと?


やはり、悠斗は結衣のことを――?



疑惑が生じたが、すぐに否定した。


だったら最初から、オレたちを2人きりにさせなければいいのだから。



そんなことよりもこの気まずい状況をなんとかしなければ――。


「あ、そうだ。オレ、買いたい本があったんだけど、つき合ってくれる?」


たった今思い出した振りをすると、


「いいよ」


気のせいか、結衣もホッとしたようで、オレたちは2人きりの部屋を後にした。

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