涙がこぼれる季節(とき)【完】
「そういえば、私たちが学校から帰る道って、お母さんのママ友の家だらけ」


……それが、さっきおばさんが言ってた、ネットワークの正体らしい。


「でも、バレててよかったかも。やっぱりなんか後ろめたかったし……それに……手もつなげるし」


はにかみながらも、どこか清々しい結衣の表情に、オレの胸はチクリと痛んだ。



2人でK高の野球部に入るなら、つき合ってることを隠した方がいい――。



実を言うと、悠斗のセリフがずっと心に引っ掛かっていた。



隠れてコソコソつき合う――。


それが、どういうことか。



オレたちは、今までできるだけ親に知られないようにしてきたつもりだ。


だが、結局バレていたし、常に後ろめたさを抱いてもいた。



同じチームの仲間に絶対にバレないようにしなければならないとしたら、オレたちが抱くのは「罪悪感」だろう。


オレは、結衣に、そんな思いを抱かせたくはなかった。

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