涙がこぼれる季節(とき)【完】

涙……

結衣がK高の野球部でマネージャーをやるのは、小3からの夢。


オレは高校でも野球を続けたい――それはK高でなくてもいいのだが、別々の学校だと忙しくて会う時間もないだろう。



だから。


2人でK高の野球部に入って――。


つき合うのは、やめる。




そうすれば、2人きりで会うことはできなくても、毎日会える。


それが、少しの後ろめたさも抱かず、一緒にいられる方法。


それに、甲子園に行きたいという結衣の夢が叶った時、オレもその場にいたい。


いや。オレが、結衣の夢を叶えたい――。



11月に入り「三者面談のお知らせ」が配布されると、自分なりに考え抜いた結論を、思い切って結衣に打ち明けた。


「でも、結衣がイヤだって言うなら、違う方法、考えよう」


場合によっては志望校を変更することになるかもしれないので面談前にこの話題を切り出したのだが、


「……私も、同じこと、考えてた」


結衣は寂しそうにつぶやいた。

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