涙がこぼれる季節(とき)【完】
周りにとっては両想いの2人の仲の良さが目障りなのであって、つき合っているかどうかなんて関係ないのだ。


高校でも結衣を好きになるヤツは何人も現れるだろう。


そういうヤツらに探りを入れられたら、中学の時に2人がつき合っていたことなど簡単にわかってしまう。


今はもうつき合ってません、なんて通用しないのだ。



そのことを、この、のん気な2人に言って聞かせた。


「だから、2人で野球部に入るなら、一定の距離を置いた方がいい」

「……それって、修ちゃんと、しゃべるなってこと?」

「そうだ。特にシュウは、不器用で緊張しいだから、絶対に怪しまれる」

「…………」


結衣は反論せず、目を伏せた。


寂しいのはわかるが、そうしないと結衣が傷つくことになってしまうのだ。


俺は心を鬼にして、黙っていた。

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