涙がこぼれる季節(とき)【完】
しょんぼりしている結衣を見かねたのか、


「どうせ、そんなに話す機会、ないよ」


美桜が、結衣の頭を軽く叩いた。


「クラスも違うし、部員とマネージャーは別行動らしいから帰宅時間も違うし、しゃべるヒマなんてもともとないって」


K高のクラスは、入試の得点によってA、B、Cの3コースに分けられ、美桜と結衣はA、シュウはB、俺はCコース、ということはもうわかっていた。



「それに、会話なんかなくても、心はつながってるでしょ」


美桜に慰められ、結衣はなんとか気を取り直した。




……ほんと。



結衣は、面倒くさい女だ。



こんなのと幼なじみで、マジ、疲れる。



「ふう~」



俺は長めに息を吐いた。

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