涙がこぼれる季節(とき)【完】
今日は起きてからずっとテレビを見ていたが、面白い番組がなく、夕方、たまには素振りでもしようと外へ出た。


すると、美桜の家の台所に結衣と美桜の姿が見えたので、勝手口のドアを叩いた。


「今、取り込み中~」


美桜は明らかに俺を邪魔者扱いしたが、俺は強引に上がり込んだ。




テーブルの上にはすでに焼き上がった、ハート型のチョコレートケーキ。



結衣が幸せそうにデコレーションしているところだった。




もちろん、これはシュウのためのケーキ。


そんなことは、わかっている。




俺も、結衣たちから毎年チョコをもらっていたが、市販の、いかにも、義理チョコ。



だが、シュウには、手作りの、ハート型。

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