涙がこぼれる季節(とき)【完】
「なんで、美桜の家で作ってるんだよ」

「だって、美桜ちゃんちの方が道具が揃ってるんだもん」


「だって、じゃねぇよ。

自分は渡す相手もいないのに、つき合わされてる美桜の迷惑も、少しは考えろ」


「なによ、悠斗にはカンケイないでしょ」



カンケイない、だと――?



「それに、悠斗と違って、美桜ちゃんは優しいから、そんなこと思わないもんね」



……俺が、優しくない?

……ああ、そうだ。



俺は、優しくなんか、ない――。

< 160 / 200 >

この作品をシェア

pagetop