涙がこぼれる季節(とき)【完】
<吉崎修太郎>


ホワイトデー。


明日の卒業式の準備を終えて、下校する途中、


「これ、チョコのお返し」


オレが結衣に渡したのは、ピクルスのマスコット。


「これ、ピクルス?」


結衣は、袋の上からを触っただけでわかったらしい。


だが、誕生日の時のような笑顔は見せてくれなかった。


「ありがとう。これ、スクールバッグにつけるね。

私が修ちゃんのこと好きっていう印に」


「じゃあ、オレのこと好きじゃなくなったら、外すの?」

「うん」

「え~、そうなったら、オレ、ショックで立ち直れないかも〜」


結衣を笑わそうとおどけてみせたが、


「だったら、ずっと……私が好きな、カッコイイ修ちゃんでいてね」


結衣は寂しそうな瞳でオレをみつめるだけだった。

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