涙がこぼれる季節(とき)【完】
テストで赤点を取ると、追試で合格点を取るまで部活に参加できない。


そうセンパイから教えられ、勉強にはイマイチ自信の持てない1年生部員――俺を含め――は、一瞬悩んだが、すぐに名案を思いついた。


美桜は、新入生代表になるほどの秀才。


Aコースには結衣と部員がもう1人、Bコースにはシュウと、マネージャー2人と部員が2人。


この8人に教えてもらえればなんとかなるのでは、ということで。


毎週月曜日とテスト前――部活動停止日の放課後には、空き教室で勉強することになった。



結衣とシュウにとって、この場は最も近くにいられる時間。


物理的な距離はあるものの、密かに目を合わせたりして。


誰かに気づかれてしまうのでは、と俺はヤキモキしていたが。


それと同時に、寂しさに押し潰されるのでは、と思っていた結衣が明るく楽しそうに過ごしていることに、安堵してもいた。




ワガママで面倒くさい幼なじみでも、寂しそうな表情は見たくない。


結衣には、やっぱり笑顔が似合うのだ。

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