涙がこぼれる季節(とき)【完】
「それはそうだけど、でも、なにも私たちの前で他の部の女子、褒めなくてもいいと思うのよね」

「私たちのこと何だと思ってるのかって、バカバカしくなるよね」

「そうそう、もう、なんかやってられない――ってね」


あかねちゃんの一言に、美桜ちゃんの目つきが変わった。




「やってられんのやったら、今すぐ荷物まとめて出て行かんかいッ」




美桜ちゃん――17歳、美少女の、ドスのきいた声に、全員棒立ちになった。



「……あの」


ふと、我に返ったあかねちゃんが、


「ごめん。でも、本気で言ったわけじゃないから」


素直に謝ると、他の4人も気持ちを入れ替えてくれたらしい。






「おにぎりできたよ~」


以前のような明るい声がグランド脇に復活して、部員たちも一安心したようだった。

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