涙がこぼれる季節(とき)【完】
次の月曜日、いつもの空き教室に入ると、なぜかみんな帽子を被っていた。


マネージャーが4人揃うと、部員たちは整列し、主将の修ちゃんが口を開いた。



「不愉快にさせてスイマセンでしたっ――お詫びに、全員で頭、丸めてきましたっ」


いっせいに帽子を取った部員たちの頭は、明らかに昨日よりも短く刈られていた。


「もともと坊主だから、5厘にしてみました~」


悠斗がおどけてみせると、


「うわッ、触らせて~」


晴香ちゃんのテンションが急に上がって、


「気持ちいい~。ちょっと、みんなも触らせてもらいなよ~」


私たちにも勧めてきた。


「実は私も触ってみたかったんだよね」


あかねちゃんはそばにいた部員の頭を満足そうになでくりまわし、美桜ちゃんまでもが、近くの坊主頭に、おそるおそる手を伸ばしていた。

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