涙がこぼれる季節(とき)【完】
「結衣も触ってごらんよ~」



そんなこと言われても――。


私の近くにいるのは、修ちゃん。


みんなに見られているのに、修ちゃんに触るなんて、できない。



「私は……いいよ」


修ちゃんへの気持ちをみんなに悟られないように、と緊張していた私は、


「吉崎――」


修ちゃんを呼ぶ声にホッとしたのも束の間、その声の主は北山さんで、また別の緊張を強いられてしまった。

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