涙がこぼれる季節(とき)【完】
「ちょっと、来て」

「え、あ、ああ」


修ちゃんは、北山さんと一緒に教室を出て行ってしまった。


「北山、ついに告白する気だな」

「まちがいない」


カップル誕生を予想してみんなが楽しそうに騒いでいる中で、私は一人、黙り込んでいた。




北山さんは、修ちゃんの返事がOKだという自信があるから、みんなの前で堂々と呼び出せたのだ。



……北山さんにそう思わせてしまうほど、修ちゃんは北山さんと仲が良かった、ということ。



修ちゃんが北山さんにOKの返事をしてしまうんじゃないか――。




そんな不安を抱いて、修ちゃんが戻って来るのを待っていた。

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