涙がこぼれる季節(とき)【完】
<吉崎修太郎>


「私とつき合ってほしいんだけど」


人生初の女子からの告白は正直嬉しかったが、北山にみつめられてもオレの心臓は平常どおり。


「ごめん。北山のことは、友達としか思えないから」

「……え?」



呆気にとられたような様子の北山を残し、オレは教室に戻った。



「北山に告られたんだろ~?」

「おめでと~」


みんなに冷やかされ、


「断ったよ」


オレは冷ややかに告げた。


「えー、なんで?!」


面白がって言っているだけかと思っていたが、みんな本気で驚いていて、オレの方がびっくりした。


なぜ、みんな、オレが北山とつき合うのが当然だと思っているのだろう。


北山を好きだと言ったことも、そんな素振りを見せたこともないのに。


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