涙がこぼれる季節(とき)【完】
引退して5日後、マネージャーへの感謝を込めて、3年生全員でバーベキューに招待することになった。


S市のバーベキュー広場。


俺たちは準備のため、マネージャーたちよりも早く来ていた。



この5日間、結衣はずっと「修ちゃんと花火大会、行けるかな?」と不安そうにしていた。



今までみんなに隠してきた2人の想いを、引退と同時に開放してもいいのだろうか。


シュウは、多分、そんなふうに思い悩んでいるのだろう。



だが、悩んでいる場合ではない。


この野球部3年生の中には、結衣を狙っているヤツが――まさに今日、告白しようとしているヤツが何人かいるはずだ。


チームメイトに先を越されたら、ますますシュウは結衣との関係をうやむやにしてしまうだろう。


シュウは、そういうヤツなのだ。




だが、俺は、結衣には心から笑っていてほしい。





だから、先手必勝――。

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