涙がこぼれる季節(とき)【完】
「30日、みんなでS市の花火大会行く?」

「行く、行く」

「実は、俺、行ったことないんだ」

「俺もだよ」

「じゃあ、みんなで行こうぜ」


参加者が続々増える中、シュウは少し離れた所で野菜を切っていた。


「あ、花火大会の写真あるけど、見る?」


俺はデジカメを取り出した。


「結衣と美桜の浴衣の写真もあるぜ――中3の時のだけどな」


俺が声を張り上げると、シュウの動きが一瞬にして止まった。


「なんだよ、コレ」

「うわッ、マジ?!」

「おい、シュウ。どういうことだよ」


俺がみんなに見せたのは、結衣とシュウが手をつないでいる写真。



みんなに注目され、シュウは、


「あ、いや、それは、つまり、その……」


最初は戸惑っていたものの、


「実は――」


結衣とのことを、みんなに打ち明けたのだった。

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