涙がこぼれる季節(とき)【完】
好きな野球がやれるうえに、好きな子の笑顔が見られる。
そんな毎日に不満などないはず……だったのだが。
同じ野球部の松山悠斗が、水沢と「結衣」「悠斗」と呼び合うたびに、オレの心はささくれ立った。
悠斗と水沢と、マネージャーの佐伯(美桜)は幼なじみで仲が良い。
悠斗は佐伯とも名前で呼び合っているが、「結衣」の方が口調が優しいと思ってしまうのは嫉妬のせいだろうか。
そんな悠斗にひきかえ、オレは、名前で呼び合うどころか水沢と一度も話したことがなかったのだ。
直接話をする状況がなかったし。
話ができそうな時も他の部員に先を越されてしまったり。
そもそも、緊張しすぎて何を言っていいのかわからなくなってしまうのだ。
ただ、水沢を見ていることしかできなかった。
そんな毎日に不満などないはず……だったのだが。
同じ野球部の松山悠斗が、水沢と「結衣」「悠斗」と呼び合うたびに、オレの心はささくれ立った。
悠斗と水沢と、マネージャーの佐伯(美桜)は幼なじみで仲が良い。
悠斗は佐伯とも名前で呼び合っているが、「結衣」の方が口調が優しいと思ってしまうのは嫉妬のせいだろうか。
そんな悠斗にひきかえ、オレは、名前で呼び合うどころか水沢と一度も話したことがなかったのだ。
直接話をする状況がなかったし。
話ができそうな時も他の部員に先を越されてしまったり。
そもそも、緊張しすぎて何を言っていいのかわからなくなってしまうのだ。
ただ、水沢を見ていることしかできなかった。