涙がこぼれる季節(とき)【完】
練習後、少し離れたところで、1年生マネージャー――水沢と佐伯と、中村(真紀)がしゃべっていたのだが。


「結衣って好きな人いないの?」

「え? いるよ」


中村と水沢のやり取りに、


「マジ、誰?」


周りにいた部員たちは興味津々に水沢を囲み、オレはさり気なく耳を傾けた。


「ウッチー」

「ウッチーって、まさか、4組の内山?」


内山は、バレー部一のモテ男。


……なんか、納得。


そんな空気が流れたが。


そんなことよりも、水沢に好きな男がいたということ自体に、オレはショックを受けていた。

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