涙がこぼれる季節(とき)【完】
それにしても。


吉崎だから助かった、と真紀は言うが。



結衣じゃなかったら――もし、私や真紀だったら、こうはいかなかったはず。




大切な女の子を、守りたい。



その一心があったからこそ、吉崎のあの並外れた瞬発力が発揮されたのだ。



だが、結衣は、それほどの想いにまるで気がついていない。



結衣はまだ先ほどのショックが残っているのか、心ここにあらずという様子だった。

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