涙がこぼれる季節(とき)【完】
それから。

中学の野球部に入ってすぐ、練習中、私たち1年生マネージャーに、3年生の男子部員たちが個人的な質問を次々にしてきた。


新入部員の存在が嬉しくてのことだろうけど、けっこうな時間が経ち――。



「あんたら、ほんまえらい実力、あるんやろねぇ」


突然、美桜ちゃんが京都弁になって。


私やA少年団出身者たちは、ヤジ事件を思い出して緊張した。



「練習せぇへんかっても結果出す自信あるんやろ?」

「佐伯って関西生まれ? なまりって、なんかいいよね」


イヤミに気づかず、センパイがノーテンキに笑うと、思っていたとおり、美桜ちゃんの目つきが変わった。

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