涙がこぼれる季節(とき)【完】
<佐伯美桜>
部活の後の帰り道――学校から5分の所に私の家と悠斗の家、さらに5分行くと結衣の家があり、私と悠斗は毎日結衣を送ってから家に戻るのだが、
「俺思うんだけど、結衣って、シュウのこと好きなんじゃね?」
私と2人になると、悠斗は口を開いた。
結衣が吉崎を?
「結衣が、吉崎を、好きなんじゃないかって、言った?」
念のため、確認した。
なぜなら、その根拠となる結衣の言動が、まったく思い当たらなかったからだ。
「ああ。結衣が、シュウを」
だが、悠斗が――結衣のことを一番気にして見ている悠斗が言うのなら、そうなのかもしれない。
その根拠を探るべく、結衣に注目すると。
練習後、少し離れた所からさり気なく吉崎に視線を向けていたり。
休み時間、大した用もないのに吉崎のクラスへ行ったりしていた。
結衣とも吉崎とも違うクラスなのに、悠斗はこのことに気づいたのだろう。
悠斗は、結衣のことに関しては、誰よりも敏感なのだ。
部活の後の帰り道――学校から5分の所に私の家と悠斗の家、さらに5分行くと結衣の家があり、私と悠斗は毎日結衣を送ってから家に戻るのだが、
「俺思うんだけど、結衣って、シュウのこと好きなんじゃね?」
私と2人になると、悠斗は口を開いた。
結衣が吉崎を?
「結衣が、吉崎を、好きなんじゃないかって、言った?」
念のため、確認した。
なぜなら、その根拠となる結衣の言動が、まったく思い当たらなかったからだ。
「ああ。結衣が、シュウを」
だが、悠斗が――結衣のことを一番気にして見ている悠斗が言うのなら、そうなのかもしれない。
その根拠を探るべく、結衣に注目すると。
練習後、少し離れた所からさり気なく吉崎に視線を向けていたり。
休み時間、大した用もないのに吉崎のクラスへ行ったりしていた。
結衣とも吉崎とも違うクラスなのに、悠斗はこのことに気づいたのだろう。
悠斗は、結衣のことに関しては、誰よりも敏感なのだ。