涙がこぼれる季節(とき)【完】
<松山悠斗>
シュウに送ってもらうのをやめてから、結衣は落ち込む一方で、部活中も暗く、覇気がなく、無表情だった。
なんとかしないと――。
思っていた矢先、ベースランニングのタイムを結衣と美桜が計測していたのだが、
「はあ……」
結衣が不意に、ため息をついた――ついてしまった。美桜の前で、練習中に。
「あんた、今、ため息つかはった?」
美桜の京都弁を聞いて、結衣も自分の失態に気づいたらしく、表情を硬くした。
「ちょっと、これ、お願い――来て」
京都なまりのまま、美桜は計測を1年生マネージャーに任せると、結衣を部室に連れて行った。
1年生部員たちは美桜の変なしゃべり方にポカンとしていたが、2年生は状況を察知し、心配そうに立ちすくんでいた。
美桜が場所を変えたのは、それだけまだ冷静だったからなのか。
それとも、部員たちにはとても見せられないような人格を登場させるつもりだからなのか。
シュウに送ってもらうのをやめてから、結衣は落ち込む一方で、部活中も暗く、覇気がなく、無表情だった。
なんとかしないと――。
思っていた矢先、ベースランニングのタイムを結衣と美桜が計測していたのだが、
「はあ……」
結衣が不意に、ため息をついた――ついてしまった。美桜の前で、練習中に。
「あんた、今、ため息つかはった?」
美桜の京都弁を聞いて、結衣も自分の失態に気づいたらしく、表情を硬くした。
「ちょっと、これ、お願い――来て」
京都なまりのまま、美桜は計測を1年生マネージャーに任せると、結衣を部室に連れて行った。
1年生部員たちは美桜の変なしゃべり方にポカンとしていたが、2年生は状況を察知し、心配そうに立ちすくんでいた。
美桜が場所を変えたのは、それだけまだ冷静だったからなのか。
それとも、部員たちにはとても見せられないような人格を登場させるつもりだからなのか。