涙がこぼれる季節(とき)【完】
「キャプテン」
俺が部室を指すと、
「みんな、練習続けて」
シュウはキャプテンらしく周りに声をかけると、俺とともに部室に入った。
「あんた、ここのとこ、全然あかんで。
たとえ悩みがあったとしてもな、部員らの前では明るくしとかんと。
今のあんたは、マネージャー失格や」
美桜の京都弁を、結衣は神妙な面持ちで聞いていた。
このぶんなら、美桜が別人になることもないだろう――。
安心した直後、
「佐伯の言うこともわかるけどさ」
シュウが口を挟んだ。
しかも、「けどさ」なんて逆接を使って。
普段は聞かれたことにも満足に答えられないくせに、余計なことを言い出したシュウを、睨みつけた。
だが、シュウは俺の視線に気づかず、話を続けた。
俺が部室を指すと、
「みんな、練習続けて」
シュウはキャプテンらしく周りに声をかけると、俺とともに部室に入った。
「あんた、ここのとこ、全然あかんで。
たとえ悩みがあったとしてもな、部員らの前では明るくしとかんと。
今のあんたは、マネージャー失格や」
美桜の京都弁を、結衣は神妙な面持ちで聞いていた。
このぶんなら、美桜が別人になることもないだろう――。
安心した直後、
「佐伯の言うこともわかるけどさ」
シュウが口を挟んだ。
しかも、「けどさ」なんて逆接を使って。
普段は聞かれたことにも満足に答えられないくせに、余計なことを言い出したシュウを、睨みつけた。
だが、シュウは俺の視線に気づかず、話を続けた。