涙がこぼれる季節(とき)【完】
ゴールデンウィークが明け、久しぶりに授業を受けた日の放課後。


昇降口に行くと、ちょうど水沢と佐伯が靴を履き替えているところだった。


水沢たちは、オレにはまったく気づかず、出口に向かった。


仮に気づいたところで、オレたちの間に会話など生まれないのだが……。


軽いため息をついた時、桐谷が現れた。


「ねえ」


腕をつかんで水沢を振り向かせると、


「オレ、結衣ちゃんのこと、好きになっちゃったんだけど」


肩になんかついてるよ、と言うような軽いノリで爆弾発言をし、昇降口にいた生徒たちに衝撃が走った。


唖然とする水沢に対し、平然とする桐谷。

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