涙がこぼれる季節(とき)【完】
「高校でも、野球やるんでしょ?」

「ああ」

「吉崎なら、どこの高校でもレギュラーになれるよ」


結衣に褒められて、シュウはテレまくるかと思ったら、


「絶対、なるよ」


まるで別人のように強気の即答。


「そういう気持ちで練習してるから」



シュウの野球に対する姿勢は、ほんとにカッコイイと思う。


結衣と同じ高校に行くために勉強もちゃんとやっているし。



目標を実現するための努力を惜しまない。


シュウのそういうところに、結衣は惹かれているのだろうか。


このままでは1年後、K高のグランドにいるのは、結衣と美桜とシュウだけで、俺の姿はないかもしれない。




危機感を抱いた俺は、その夜、机に向かった――が、ほとんど勉強できなかった。


すぐに、睡魔に襲われてしまったからだ。

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