涙がこぼれる季節(とき)【完】
「結衣ちゃんて、カレシいるの?」

「……いないけど」

「じゃあ、オレとつき合って」

「え? いやいや、ムリムリ。私、桐谷のことよく知らないし」

「じゃあ、これから知ってよ」


断わられても桐谷はまったく引き下がる気配を見せず、


「さっそく知っておいてほしいんだけど、オレは本気で好きになった子のこと、簡単にあきらめないから」


自分の言いたいことを言ってしまうと、腕をつかんでいた手で水沢の頭をポンと叩いて、桐谷は立ち去った。

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