涙がこぼれる季節(とき)【完】
<吉崎修太郎>


写真のことはもうあきらめかけていた頃、


「悠斗から写真もらった?」


救世主――佐伯が現れた。


「いや」

「じゃ、これ、あげる」



佐伯がくれた封筒の中には、あの時の写真が1枚入っていた。


水沢と、オレ。ちょっと離れて、佐伯。



佐伯には本当に申し訳ないが、ついつい、思ってしまう。



2人きりだったら――と。



水沢と一緒の写真は、集合写真以外では、きっとこれが最初で最後だろうから。

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