涙がこぼれる季節(とき)【完】
ドン引き――。


「結衣ちゃん」と呼んでいることにも、自信過剰な言動にも、オレは憎悪を抱いた。



しかし、その場にいた女子たちは違っていたようだ。


「やだ~、カッコイイ~」

「私だったらつき合うのに~」


目をキラキラさせて盛り上がっていた。



それもこれも、けっきょく、桐谷が、超イケメン、だからだ。




オレは、「イケメン」ではないということを自覚していた。


そして、予感した。

近い将来、イケメンじゃない自分を恨む日が来るのではないか、と。

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