涙がこぼれる季節(とき)【完】
それ以来、桐谷は、誰はばかることなく水沢に甘い言葉を発し、2人の距離を縮めようとしていた。


周りの女子たちは、


水沢が自分だったら――。


妄想しては羨ましがっていたが、当の水沢は意外にも冷たい対応だった。



「あそこまでなれなれしくされると、さすがにちょっとね」



練習後聞こえてきた水沢の声に、オレは内心ほくそ笑んでいた。

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