涙がこぼれる季節(とき)【完】
「あ、明日、6時間目が終わったら、昇降口に来てね」


「え?」

「一緒に……帰らないの?」


察しの悪いオレに、結衣はちょっとすねてみせたが。



その表情が、また可愛くて……。



オレは浮かれて――浮かれすぎて。


結衣と別れた後、本来の目的をすっかり忘れ、手ぶらで家に帰った。




母親には激怒され、夕飯――今日最初で最後のメシは、具無しのソーメンだけだったが。


オレの胸は、満たされていた。

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