森田当麻の奇妙事件簿
何か起こるかと身構えたが、何も起こらない。
ただ、静かな海がそこに広がるだけ。
しかし、その静寂はすぐにやぶられる。
いきなり波しぶきが天高く舞い上がった。
海に一人の男が仰向けで浮かんでいる姿が目に飛び込んでくる。
男の顔は蒼白。きっと死んでいるのだろう。
当麻が一歩踏み出したとき、突然地震のような揺れが波を激しく荒立てた。
津波が当麻に向かって襲いかかってくる。
逃げようとしても自然の前に人は無力だ。
すぐに津波にのまれ、右へ左へもまれる。