森田当麻の奇妙事件簿

「その容疑者をかばってる可能性があるからだよ」

「……人の思いなんて関係ないんですね」

ポツリと優衣が呟いた。

怪訝な顔で優衣をみる当麻。

「なんだ?お前は自分を襲おうとした男をかばってるのか?」

「違いますよ!!……ただ。その人の思いなんて捜査に関係ないんだって思っただけです」

容疑者でもその人を思う気持ちに変わりはない。
嘘じゃなくても信じてもらえないなんて。

「悲しい……」

「捜査はそんな物なんだ。人を疑い、思いを踏みにじる。……捜査に人の思いなんて関係ないよ。」

当麻は突き放すように言うと、車を発進させた。

当麻には感情がないのだろうか。
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